お客様の中でどなたかお医者様ごっこのお医者様はいらっしゃいませんか?

ユルめのやつ(タイトルは不定期に変わります)

美しさと強さと賢さ

ここに武者小路実篤著「その妹」と云う一冊の本がある。

ザックリなあらすじは盲目の兄(広次)とその美しい妹(静子)の悲しい生き様を描いた話。広次はもともと画家を目指していたが、戦争の為に光を失う。静子は広次の身の周りの世話を健気に行い二人は暮らしていた。兄妹は叔父夫婦のところに身を寄せていたが、そんな叔父夫婦から静子に縁談がくるところから物語は始まる。

 

縁談は金持ちだが下品で下衆なドラ息子からのものだったが、兄・広次の為に金が生み出せるなら…と迷う静子に広次は一喝して縁談を断り、二人で叔父夫婦の家を飛び出してしまう。二人で始まった生活は広次の友人の西島と云う人物がたいそう助けてくれるのだが、やがてこの西島(既婚)と静子が危険な恋に落ちてしまう。この危険な恋が西島個人にも、兄と西島の関係にもありえないと判断した静子は、最初の縁談を受け、広次にお金を残して去ってしまう…広次「俺はちからが欲しい」のセリフを最後に幕は降りる。

 

そんな話はどうでも良いとして(ぬ?w)、昨日若いエンジニアと話をしていて悲しくなってしまいました。内容はさておき、彼の言わんとするところはつまり「ボクは目立たず、特にエッヂの利いた発言もせず、ただただ美味しい仕事をもらってチカラを蓄えられれば良いんです」的な事でした。「自分の主張をして目立って反感買って会社からの評価が落ちるのは美味しくないから」と言う事でした。彼のその先にどんなビジョンがあるのかは話してはくれませんでした。

 

その環境に応じた評価を得る為に本意でない事をするのは、最初の実績作りとそれに伴う信頼の為に必要かもしれません。事実、そう云うシーンだってボクの拙い経験の中で過去にはありました。し、必要に応じてそのような動き・仕事はきっとこれからもするでしょう。ただどうだろう…彼の話を聞いてると、今後も場当たり的に大局を見ない手法で生きていく感じがしてしまいました。感覚的に昭和の仕事の方法な気がするのですよね。エッヂ利かせてリスクを取る事で自らの信じる道に皆を誘導して信頼できる仲間を増やす事こそが、本当に進むべき自らの道を切り開くのではないかな…特に今の小さな会社の中では…と素朴に思ってしまいました。つまり誰も人がついて来ない感じに見えた。つまり大局を見据えたビジョンが無いように見えました。

 

やがてデッケー会社になった時にどんなチカラを持って、何をしたいのか…みたいなビジョンが彼から見えなかったのが悲しいのですね。人はエゴイズムを多いに持っていて結構だとボクは思うのです。思うのですが、エゴイズムによって自らを滅ぼすのであれば、それを上手く使う術を人は学ばなければならない。もしくはエゴイズムと付き合う術を学ばなければならない。とボクは思うのです。

 

元来、サッカーでフォワードをやっていたのが関係しているのかわかりませんが、ボクは強烈なエゴイズムのカタマリみたいな性格をしています。「俺がゴールにブチ込んでチームが勝てば、それ以外に何が必要なの?あ?」が基本です。つまり「俺以外のやつがさっさと走って守って、さっさとボールを運んできやがれ」なヤツですが、それが満たされない以上に嫌なのがチームが負ける事です。チームが負ける・勝負に負けるくらいなら「仕方なく」いや「喜んで」ボクも走ります。ゴールを決められないストレスよりチームが負けるストレスの方が遥かに上と言う事ですね。

 

身を切って嫁いだその美しい妹は言いました。「あせらないでちょうだいね。私は(兄さんを)を生きて見られるのだと思うと嬉しくってよ。」と。必要な思いの通りに生きて、本当に必要なものを得る為の芯の強さ。そして賢さ。日本人だからなのかわかりませんが、静子の美しさと強さと賢さにボクはとても憧れます。

  

追伸 :ブログのタイトルは不定期に気ままに変わります